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2023.04.28 (金)
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わたしとナルトシザー |ヘアーサロンさえき 様
年間16,000丁、多い日には1日で200丁近く届くこともある修理ハサミ。
そこには刃付けのご要望だけでなく、職人への励まし、送ってこられたハサミとの物語が綴られていることもあります。そんな中、
『生涯現役』
という言葉を思い浮かべずにはいられないお便りがありました。
今回はその内容を、ご了承いただいた上、紹介いたします。
『私は1934年生、今年89才になります。
いつ廃業しようかと思っていても、永年来店されるお客様の顔を見るとなかなか踏ん切りがつきません。
さて最初1965年頃*、堺市の小林理器店*から御社の梳き鋏を購入し、切れ味の凄さに惚れて後に、両剣、片剣、カマボコと3本買い、現在も使用しています。
(なんと永く使えると驚きですネ。)
3年ほど前までは自分で研いでいました。
そうそう昔、セントウサイ印の鋏が流行していて(1960年頃)自分で器具を使って、手で曲げたり、叩いたり、裏スキもした記憶があります。
もちろん自分で開店前、早朝に起きて研いだものです。今の若い理容師には通じない話ですが・・・。
余談になりましたが、研ぎの方お願いします。』
*1965年…昭和40年。当時のサラリーマンの平均月給は30,000円、散髪代は約350円、美容院代約250円、パーマ料金約850円。
高度成長期真っただ中であり、驚くべきことに5年後には平均月給が約2倍に増加した。
*堺市の小林理器店…当社取扱い代理店、現(株)ヘアラボさま。
*両剣…動刃、静刃とも剣形のハサミ。現在は生産中止。
*カマボコ…断面がカマボコ型のハサミ。年代やメーカーによりさまざまな呼び方があり、当社ではハマグリと呼んでいる。
また、修理返却後には、以下のお便りをいただきました。
『先日は、お世話になりありがとう御座居ました。
流石プロの研師さんの腕前で素晴らしい切れ味と調整に敬服しました。
若い頃は、砥石で研ぎ、20年程まえに機械に替えて研いでいましたが、満足な切れ味が出ず不満に思っていて、高齢とあいまって、自分に研ぐ気力が失せて来ました。
あと何年の利用が出来るか定かではありませんが、来店客がぼちぼちながらありますので、なかなか廃業が出来ません。鋏を大事にします。
今後も理美容師達を喜ばせてあげて下さい。
研師様
佐伯舜治』
人生の大先輩である佐伯さまのお便りに、
「ご自身も、当社のハサミも、小林理器さんも存続されていて、当社も含めみんな現役で頑張ってる!」と社員も胸を打たれました。
そしてナルトシザーが、佐伯さまの理容人生の相棒となれていることを誇らしく思いました。
佐伯さま、ハサミの研ぎ・調整はご心配なく、どうぞいつまでもお元気で。
これからもカッコいい先輩の姿を見せてください。
☆ナルトシザーの特性を損なうことのないよう、研ぎ調整は当社工場におまかせください。今回は時代背景と、長くご利用いただいていることへの敬意を込めて、紹介させていただきました☆